マッターホルン 氷に削られた鹿の角
写真はwikipediaより引用
マッターホルンは標高4,478mの山で、アルプス山脈の主要峰の一つです。
その形状は特徴的で4つの絶壁に囲まれた鋭い形をしており、イタリア語ではチェルビーノ(鹿の角)と呼ばれています。
マッターホルンのイメージは上に引用したような角度から撮られた写真を想像する方が多いのではないでしょうか。(北東側、スイスのツェルマットから撮られた写真のようです)
しかし複数の角度から眺めてみると、いろいろな表情を見せてくれる面白い山だと思います。
マッターホルンの全体像とその形状の成り立ちを立体地図で見てみましょう。
3Dモデルでマッターホルンを見てみる
※ルートと注記の位置はかなり大雑把です。
再生ボタンを押すとモデルがロードされマウスのドラッグ操作などで動かせるようになります。
数字をクリックすると注記が表示されます。
(動画ではないのでそんなに動作は重くないと思います。音も出ません。)
※この3DモデルはJAXAのALOS全球数値地表モデル (DSM) "ALOS World 3D - 30m (AW3D30)"(©JAXA)
を加工して作成しています。
注記の説明
- マッターホルン山頂 :標高4,478m
- ヘルンリ小屋 :ヘルンリ尾根に位置する山小屋、標高約3,200m地点
- ソルベイ小屋 :避難小屋、標高約4,000m地点
- マッターホルン北壁 :ヨーロッパ三大北壁の一つ
ピンクのライン :ヘルンリ尾根ルート
全体像を眺めてみると思いのほか平べったい形をしています。
東西から見ると厚みがありませんが、南北から見ると三角形の形が良く見てとれます。
頂上からは四本の尾根が伸びており、そのうちのヘルンリ尾根が登山ルートの一つとなっています。
道中のヘルンリ小屋までは鎖場や岩場を含む登山を経験したことのある人なら登ることができるようですが、ここより上へ行くのはその見た目にふさわしく、難易度の高い岩登りになり一般の人にはなかなかむずかしそうです。
北壁はグランドジョラス、アイガーと合わせてヨーロッパ三大北壁とよばれるだけあって、規模の大きい、急峻な岩壁であることがわかります。
氷河が生み出した山(氷食尖峰)
この特徴的な形状はどのようにしてできたのでしょうか。
地形の分類から見ると氷食尖峰(ひょうしょくせんぽう)といい、氷河の侵食作用によってできた地形になります。
高峰の山体は麓に氷河を抱えることが多いですが、この氷河の浸食によってできる地形のうちの一つにカール(圏谷)があります。カールは氷が地面を削り取ることによってできる半円柱状の地形で、スプーンで抉り取った形状といったほうが分かりやすいかもしれません。
このカールは侵食を繰り返し次第に成長していきますが、複数のカールが成長するとどのようになるでしょう。
以下に4つのカールが成長していく様子をアニメーションで表しました。
成長していく2つのカールどうしがぶつかると鋭い稜線ができます、また4つのカールに囲まれた中央部分は削り取られることなく残り、とがった鋭い山体となります。
これをマッターホルンに当てはめると以下の図のようになります。
水色部分が氷河の浸食によって削られた部分と考えると何となく理解できた気がします。
専門家ではないので感覚的な説明となりますが、これがマッターホルンの特徴的な形状を作っているようです。
同様の地形は日本では槍ヶ岳が有名です。
模型でマッターホルンを見てみる
氷食尖峰と4つに伸びる鋭い尾根がよく表現できています。
以下のリンクで販売しています。